◇昨日、そして今日(091018)、麻布学園の説明会が開催された。日曜日の説明会は、講堂が満席になり、視聴覚教室で中継を見る参加者がでたほど。
◇最初の50分間は、氷上校長の麻布教育精神とスライドによるきめ細やかな教育実践の説明だった。笑いあり拍手ありで、麻布の深い見識と機知に富んだスピーチが展開した。

(写真は講堂二階席から)
◇氷上校長の話は、麻布は二兎追う学校という宣言。高等教育(大学)に進む学業を積む道とすべての生徒の多様で豊かな個性と未来への可能性を拓く環境をつくりあげているというわけだ。
◇これは論理を重視する「能力」と同学園の最も力を入れている芸術活動に象徴される「才能」は、両立が可能なのだということを示唆している。この点においては公立の進学重点高校とはだいぶ雰囲気が違う。後者はそもそも能力と才能の差異が判然としない。
◇それはともかく、この両立が可能なのは、建学者江原素六の「青年即未来」という生徒の才能と未来の可能性への絶大なる信頼がベースになっている。氷上校長は青年の内面にどれだけ豊かな個性が宿るかによって、社会の未来はかかっているのだと。
◇つまり、たしかに社会の精神は枯渇し、干からびようとしているけれど、麻布の生徒を見ていれば、なあにそんなものは年寄の杞憂である。そういう信頼感を江原素六先生は持ち続け、そういう思いで教育をしてきたのだ。それを今も受け継いでいるのが麻布学園なのだと。
◇力のこもった話のあとに、スライドを活用しながら、具体的な教育実践を説明された。要所要所で笑いをとっていたのはさすがである。たとえば、硬式野球部のスライドのときに、部員は映っているだけかな、したがって、高校になって入部したら必ずレギュラーになれますねと語るとドッと笑いが広がった。

◇広尾の駅から麻布に向かうと、大名庭園の自然が視界に入る。何気ない景観だが、この大名庭園が19世紀末から世界大戦が始まるまでのヨーロッパのユートピア都市のプロットタイプ。そして現代ではエコシティのデザインの原型。生徒たちの内生的成長を支える環境でもある。

◇しかし、文化財の価値を有する麻布の校舎の向こうには、ポストモダンの大量消費経済の象徴の建造物がそびえたっている。バベルの塔のように。しかし、これはまた麻布の批判的精神を促すランドスケープでもある。

◇生徒1人ひとりの柔軟な思考や才能を豊かにする条件が麻布の自由ですと氷上校長は語る。その普遍的よき近代の精神と一方で人間の精神を荒廃させる近代化の闇の部分。この近代の矛盾を受けとめ、解決に立ち臨む生徒たちの未来を江原素六とともに麻布の教師は信頼し、そのための教育を日々実践しているのである。
◇来週の24日(土)、今年の麻布のファイナル説明会がある。「青年即未来」を確信したい方は、受験生に限らずぜひ足を運んではいかがだろうか。

