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獨協中学校の教育改革

◇9月21日(土)、獨協中学校の小講堂で、同校の第1回学校説明会が開催されました。講堂は満席で、先生方による2時間の熱いトークに、受験生と保護者は真剣に聞き入っていました。


◇126年の歴史のある獨協中学校は、戦後天野貞祐先生が校長に就任されて以来、大きく転回し始めます。天野先生は京都大学教授や一高校長、吉田内閣時の文部大臣として活躍したカント哲学者です。


◇何より天野先生は、若き人材である生徒1人ひとりを励ます教師です。ノーベル物理学賞受賞の小柴昌俊氏は、一高時代に、天野貞祐先生に会わなければ今日はなかったといろいろなところで語っているぐらいです。


◇カント哲学の醍醐味は、理念も道徳も論理も美学もサイエンスできるというところです。それと論理ではわからない物それ自体があるとしたところです。だから論理だけで可能性の芽を摘み取ってはいけないのです。獨協の生徒たちは、いつも「きみたちは可能性そのものだよ」と励まされたそうです。戦後の暗闇の中で、どんなに勇気づけられたことでしょう。


◇さて、永井校長は、この天野先生=カントのサイエンス観を継承し、未来の子どものために地球環境をデザインする教育を実践しています。キャンパスに、太陽光電池で自然循環を生みだすビオトープを完成し、今では平家ボタルが住まうようになっています。


◇NHKで何回も報道された有名な教育実践です。しかし、大事なことは生徒たちがビオトープを学ぶことではないのです。ビオトープを通して、地球環境の科学的な法則を見出すことがポイントです。カントは人間の精神と自然の法則と宇宙の法則の関係全体を見出すために道徳や理性や論理、自然そして宇宙を探究したのです。


◇さらに、永井校長は、環境先進国ドイツの政府とパートナーになり、科学技術、科学哲学、文化交流を推進するプロジェクト"PASCH"に参加することになりました。これがビオトープの次の教育改革です。


◇ドイツ政府は、世界各国1500校とパートナーシップを組み、未来を拓く人材を輩出しようとしています。ゲーテ・インスティトゥートがドイツ語修得のサポートもするそうです。


◇カントの生きた時代のドイツは、知の疾風怒濤の時代。ヘルダーリン、ヘーゲル、ゲーテ、シラー、ヘルダーらが言語とは何かについても考えた時代。世界の言語の統一原理は果たしてあるのだろうか?あるいはその起源は?言語を探究することは世界を知ることだったわけですね。


◇その後ドイツからは、フンボルトやヘッケルが、言語や生態学について学問していきます。「エコロジー」という言葉を最初に使ったのはヘッケルだと言われています。


◇世界大戦というドイツにとっては誤りの道を進んだ時もありますが、現在そして未来を拓く科学的視点のルーツはドイツにあるわけで、今回のプロジェクトは、その健全な精神に回帰しようという活動でしょう。


◇ドイツ共に歩んだり、英語とドイツ語を学ぶカリキュラムがあったり、カントに理念のルーツがあったりする獨協中学にとって、この"PASCH"のプロジェクト参加は必然ともいえます。


◇教育改革は他にもあるそうです。今後の獨協中学校の説明会が見逃せません。

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